この記事では、特に経験の浅い看護師、なかでも新卒1年目で「もう辞めたい」と思っている方へ向けて、私自身の体験談をもとに「看護師の辞め方・続け方・病院以外の選択肢」についてお伝えします。
私は新卒2か月で病院を退職。その後、クリニック・訪問看護・介護施設などで約10年看護師を続けてきました。人とは違う道のりを歩んだからこそ見えてきた「辞めても大丈夫だったこと・辞めなければよかったこと」も含めて、リアルな視点で綴ります。
新卒看護師が辞める前に見てほしい記事
看護師の離職率と給与のリアルデータ
日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」結果によると離職率は11.3%で前年度から微減。新卒採用看護職員の離職率は過去2年は10%台だったが、今回は8%台に改善したと発表しました。
「新卒」給与は上がっている
2024年度 新卒看護師の初任給(高卒・3年課程卒と大卒別)
- 高卒+3年課程卒 新卒看護師
- 税込給与平均:27万6,127円(前年より9,569円増)- 大卒 新卒看護師
- 税込給与平均:28万4,063円(前年より9,311円増)・ 勤続10年の看護師(31~32歳・非管理職)
- 税込給与平均:33万4,325円(前年より7,650円増)※新卒看護師、勤続10年看護師ともに給与は前年より増加。
※増加幅は新卒看護師の方が大きい。
※なお、調査における「税込給与額」は、通勤手当・住居手当・家族手当・夜勤手当・当直手当等を含むが、時間外手当・新型コロナウイルス感染症に係る危険手当等は除いている。ただし、新卒者には家族手当は含まれず、単身・民間アパート居住とする。また、夜勤をした場合には、当該の月に3交代で8回(2交代で4回)の夜勤をしたものとする。
離職率理由のトップは「メンタル不調」
新卒看護師の退職理由(2023年度)※上位のみ抜粋:
精神的な健康問題(52.5%)
自分に看護師の適性がないと感じた(47.4%)
看護実践能力への不安(41.6%)
上司・同僚との人間関係(29.8%)
他施設への転職希望(21.8%)
身体的な健康問題(15.8%)
看護師辞めたくなったら考えてほしいこと
看護業界も給与が上がって、離職率も改善という嬉しいニュースです。
ただし、実はこれ「病院看護師」を対象としたデータなのです。
だから、安心し過ぎず、将来を考える必要があります。
私は今、約10年看護師を続けてきて、看護師以外の仕事を考えるようになりました。
今の世の中、AI時代でもあり、どの仕事も昔と同じ仕事内容で、続けていれば粛々とお給料が上がるとは言い切れない時代です。
そんなことも考えて、私は今、看護師以外の仕事をと思っているのですが、
夢だけでは生きていけないのが現実です。
生活基盤は看護師の仕事で生計を立てています。
でも、私のように新卒2か月で辞めてしまっても、
病院での経験がまともになくても、
転職市場ではとりあえず戦えています。
それは看護師の仕事がある程度のことはできるからです。
病院以外の場所、デイサービスでも健診センターでも、介護施設でもどこでも勉強をしてきたからです。
看護協会主催のものや派遣会社主催の研修も行きました。
教科書を開き毎日勉強してきました。
そう聞くと「えぇ…なんだよ、結局勉強したのかよ…」とちょっと萎える気持ちになるかもしれません。
しかし、厳しいかもしれませんが、どんな仕事も修行期間は必須です。
「修行」というとちょっと嫌気がさしますが、あの辛い学生時代、実習期間を耐えてきた人には乗り越えられるポテンシャルがあります。
世の中には甘い言葉がはびこっていて、いかにも真実のような顔をしています。
弱っている時こそそういのにすがりたくなりますが、そこは冷静に。
あとで後悔するよりも、今、しっかりと修業期間を過ごしましょう。
数年の修業期間を過ぎ、自信がつけば他の仕事や、同じ仕事でももっとレベルアップしたものなど生きる上での選択肢がぐんと広がります。
「病院以外」で得られた経験と学び(メリット)
デイサービスではカルテをお借りして、見慣れない病名を調べ、どのようにケアに活かしたら良いかを実践しました。
麻痺のある人のトイレ誘導、介助方法の工夫。
車いすがどこに置いたらいいか等。
健診センターでは採血をやりまくりました。
健康な方たちが多く、採血しやすいだろうと思いきや、意外と血管を見つけるのに難儀することもしょっちゅう。
それでも恐れずに挑む。
そうすることで交代してほしいと言われる側になるまでの成長しました。
介護施設でも同様で、病名から看護ケア方法、メカニズムを調べるのはもちろん、
薬の管理なども行うので、薬の効果、副作用が出てないかなどを観察。
そのうえで往診医、薬剤師と連携をし、必要な薬を検討する。
家族対応も積極的に挨拶をし、関わる。
あらかじめ勉強して、病気のことを聞かれても一通り答えられる状態にしておく。
私が学生の頃は(約15年前)インターネットの知識は絶対にダメ!でした。
確かに文献やエビデンスが曖昧な情報は気を付けなければいけませんが、 今は病院や訪問看護ステーションなど公の機関がHPやSNSで知識を提供しています。
インターネットやSNSで十分正しい知識を勉強できる環境になりました。
デメリット
自分のペースで勉強が出来て良い面が多いような気もしますが、もちろん反面があります。
・費用
看護協会の研修は質の高いものが多くあります。
ですが、多くの研修が会員でも、非会員でも数千円~1万円以上かかります。
・登録作業
派遣会社で開催している研修も役立つものが多く、無料のものもあります。
しかし、派遣会社に会員登録するのに実際に会社に行く必要がある場合があります。
・不安
独学の最大の懸念事項でしょう。
理解があっているかどうか、知識が十分なのかどうか。
これに関しては派遣でもバイトでも先輩看護師に積極的に聞くこと。
教科書や公の機関からの情報を取ること
ただ、病院にいても「自分の知識が合っているかどうか」「この程度の知識で良いのかな」という不安はついて回ると思います。
この不安に関してはとにかく毎日働いた先で書いた「わからないことメモ」を元に、自分なりのノートを作って勉強を続けること。
これが絶対に自信になります。
資格を活かす働き方を考える
長々、羅列してしまいましたが、何が言いたいかというと、どこでも勉強はできるし、自分のペースでとりあえず一人前の看護師になれるということです。
「とりあえずどこでも働けるな。」という感覚になればもう大丈夫です。
続けているといつか絶対「とりあえずできそうだな。」という状態なります。
もちろん前述したように看護師は一生勉強が必要な職業です。
でも、一度勉強の要領を得ればあとは応用が効きます。
新しい知識や技術に直面しても物怖じすることはなくなります。
看護師以外の仕事をすることは今の時代悪くないどころか、とても良い選択だと思います。
働き方が多様化し、リモートワークが当たり前になってきた時代。
エッセンシャルワーカー以外の仕事を自分の柱として持っておくのはとても良いことです。
ですが、どんな仕事も難しく、大変です。 お金をもらうということは簡単なことではありません。
看護師の資格がほかの道を行くときに必ず身を助けます。
まとめ:看護師は「最強の安定資格」
例えば、私は約10年看護師をやり続けてきて、今、看護師以外の仕事も出来るようにしたいと思い(→その記事はこちら) 副業でライティング、ヨガイントラを目指してスクールに通っています。
この生活を成り立たせているのは間違いなく「看護師」という資格です。
全国どこでも働けて、ある程度の賃金は貰えて、採用もそこまで狭き門ではない。
「看護師自体辞めようかな。」と思っている看護師の皆さん、
病院じゃなくても経験は積めます。
そして、生きる上で看護師資格を活かさない手はありません。
どんどん活用しましょう。
まずは、病院以外の道を選択肢に入れてみては?
※出典:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」より
「2024年病院看護実態調査」 結果新卒看護職員の離職率は2年ぶりに10%台から8%台へ改善 約4割の病院で多様な働き方を導入
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